日時 2023年11月25日(土)午後2時30分より午後5時まで(ベルギー時間午前7時30分、上海時間午後1時30分) 開場午後2時 TEAMS
講師 渡邊健夫様
兵庫県公立大学法人 兵庫県立大学
学長特別補佐(先端研究担当)
産学連携・研究推進機構 放射光産業利用支援本部 本部長代行
高度産業科学技術研究所長特別補佐
極端紫外線リソグラフィー研究開発センター長
教授
理学博士
講演タイトル
「EUVL技術の現状と今後の微細加工技術の展開、
並びにこれらを取り巻く日本の半導体産業分野の再興に向けて」
参加者(敬称略)
渡邊、新井、国井、佐藤(泰)、曽我部、筑根、濱田、小林、堀口、鈴木、田中、原口、林、三重野
兵庫県立大学紹介及び極端紫外線リソグラフィー研究開発センターについて
センターは播磨科学公園都市にあり、SPring-8,SACLA, NewSUBARUがある。SPring-8は、SPring-8 IIに向けたアップデートが計画されている。NewSUBARUには9本のビームラインがあり、EUVL専用に3本のビームラインを有しており、レジスト、マスク、光学素子等の開発・評価用に世界でonly oneの装置群を自身で開発し、世界に向けて共用している国内外合わせて24社(2023年現在)との共同研究を行っている。
第一部 EUVL技術の現状と今後の微細加工技術の展開
- EUVLとは?何故必要か?
IRDS(International Roadmap for Devices and Systems)2022を示す。現在は、ASMLにより0.33NAが実用に供している。直ぐにHiNA EUVL 0.55NAが必要となる。EUVLとDSAとのミックスマッチの可能性もある。
参考として、imecロードマップを示す。また、微細化と合わせてチップレットも合わせて使われていく。以前においては、「微細化は(経済的)限界だから、3Dパッケージ化だ。」という(間違った)技術投資方向に走ってしまった日本であるが、やっとまともになった。要はコストとの兼ね合いにより、顧客は微細化+チップレットのバランスを選択していくのだ。
この35年間で、二桁の微細化を達成してきた。TSMCは線幅14 nmでEUVLを使いi-Pad製品化に寄与し、サムソンは線幅16nmで製品を成した。
EUV光は屈折率がどの物質に対してもほぼ1であるので、EUV用露光光学系に透過型レンズが使えない。このため非球面鏡による反射型ミラーが用いられており、その表面にMo/Siの多層膜が形成されている。反射率は約70%である。EUVLの夜明け
1985米BarbeeによるMo-Si多層膜反射
1986; 日 KinoshitaらによるW-C多層膜反射
1990; 米 0.05umパタン形成
1991; 日 0.15um パタン形成
1993; 国際会議 US-Japan Workshop on Xray projection Lithography
1998; 3枚非球面鏡による40 nmのパタン形成(日本)
2001; 3枚非球面鏡とマスクとウエハステージの同期走査による60nmの大面積露光(日本)
EUVLの実用化及び更なる実用研究においては、本気のサイエンスで基礎研究から実用課題に取り組まなければいけない。にも関わらず、現在の主たる官庁及び大学においては、認識がその浅い。
- EUVLとHiNA EUVLの技術課題
最近の技術課題順位は、レジスト>無欠陥マスク>マスク歩留まり>EUV光源 となっている。
レジスト;レジストは、Sensitivity<30mJ/cm2, Resolution<10nm, LWR<10%CD(RLS Trade-off)の要求仕様を同時に満足させる必要がある。薄膜で対応できるので、ベースポリマーはどれでも良いことになるので、レジスト材料メーカーにメリットがある。少ないフォトンで露光を行うので、光吸収の良い金属材料レジストも検討されている。少ないフォトンとは、例えるならば八寸花火に対してその残り火のようなものである。化学増幅型レジストの官能基の検討、分子量の大きさについても検討が成されている。また、EUV光照射で多く生成される低エネルギーの二次電子の反応が大きなインパクトを有しているため、当センターにおいては、低エネルギーEB照射装置を新たに開発し、これと放射光による化学分析を組み合わせることで、低エネルギー電子の反応を明らかにする。これにより、高感度で且つ低LWRを有するレジスト開発に繋げる。さらに、低LWRを実現を目的にナノパーティクルレジストも提案されている。特に、2nmロジックのLWRを抑えるには、各官能基の分散を把握する必要がある。均一に分散されていれば理想だが。その為に、レジストから軟X線共鳴散乱法による評価方法を新たに開発した。
バックスキャッタリングによる方法も採用している。
マスク;
EUVマスク欠陥検査が重要であり、明視野EUV顕微鏡(EUVM)およびコヒーレントEUV回折顕微鏡(EUV-CMS)を進めてきた。EUVMを用いて1nm深さのピット、バンプ欠陥がウエハ上に転写することを明らかにした。DUV,SEMによる完璧な検査は不可能。露光と同じ波長での検査が必須である。
- BEUVLの技術課題
BEVL(Beyond EVL)では、波長6.7nmを用いる。マスクは、La/B多層膜となり反射強度、寿命の点で検討されている。また、C/B等も試されている。
レジストは、原子レベルでの吸収が検討されている。
- 結論
1)1995年EUV研究開発がスタートし、兵庫県立大学のNewSUBARUは国内大学が保有する最大のシンクロトロン施設である。
2)この30年来、300社以上との共同研究を重ね今日のEUVLが成り立っている。レジスト、マスク、ペリクル、光学系、評価装置等。
3)EUVLは、量産において7,5,3nm及び2nm以降においても貢献。
4)EUVL, HiNA EUVL, BEUVLは、まだまだ研究開発に注力する必要がある。
Photomask Japan 2024は2024年4月16-18日の間にパシフィコ横浜で対面にて、またICPST-41が2024年6月25-28日の間に幕張メッセで対面にて開催されますので是非ご参加ください。
第二部 今後の世界を取り巻く環境の中での日本の半導体産業分野の再興に向けて
ニュースバル放射光施設での半導体微細加工の研究 EUVからBEUVへの展開
- 近未來への展開:
・自動車の自動運転
・安全・安心なロボット社会
医療ロボット(失敗しない手術)等
センサー、メモリ、演算素子(CPU)は全て半導体デバイスであるが、未來では人間の脳、目、間隔を有するデバイス開発が可能になり、これらの革新的なデバイスを用いた安心安全なロボット社会を実現することにより、人間の生活にゆとりと幸福をもたらし、人間らしい生き方ができる社会へと変革を遂げる。
2)2030年以降の次世代半導体微細加工技術として、Beyond EUV技術開発を展開へ
1 nm世代以降の半導体、量子デバイスへの展開を進める。
3)未来社会: ヒトに近いデバイスへ
人間の脳、目、感覚認知が可能なデバイス開発により、脱炭素社会および持続可能な社会実装に備える。
半導体===>量子デバイス(量子力学)===>疑似生体デバイス(量子生物学)
半導体材料および半導体製造装置は世界でも優位に立っている。
日本の半導体復活には
- 半導体微細加工技術(前工程)と三次元実装(後行程)における
最先端技術による国内に最先端半導体の生産拠点を設けることが必要
- 国内の半導体需要のマーケットの構築
今後の日本の半導体戦略
1.歴史観(欧米からの干渉を理解)
日本はこれまで、幕末の頃から欧米から干渉を受け、日清戦争、日露戦争、大東亜戦争、そして、高度経済成長でのドルショック、石油ショック、繊維産業の衰退、沖縄返還にから化学繊維産業の衰退、日米半導体協定に起因した半導体の衰退、そして、次は自動車産業がターゲット
2.国家および経済安全保障
これらの観点で半導体技術は重要
3.先端半導体製造に向けた新規プロジェクト(10兆円規模)
産学が共同で取り組み、国、産業界から出資金を募り、民間主導のプロジェクトを立ち上げることが必要
・半導体の各現場を理解した上でのプロジェクト
4.新規ビジネスモデルの早期構築
日本の企業・大学が一丸になって、出口側の戦略を含めて、半導体分野(応用も含む)全体で利益が出せるように新規ビジネスモデルの構築
5.全体像
プロジェクトの企業、大学、国研の役割は、それぞれ「経営・技術戦略」、「企業の課題に対するサイエンス」、「国とのかかわり方」を明確に
Rapidus
問題点:
・EUVLの開発の取組の内容が見えない。
LSTCではEUVLのプログラムが無くなり、Rapidusが開発を担うことになったとは言え、imecから技術提供を受けることになっている。
・日本サイドでのEUVL開発のプログラムが無い。
・業界全体で儲けるためにシナリオが無い。
まとめ
1) 先端・次世代半導体技術は国家安全保障および経済安全保障上非常に重要な技術である。
2) 兵庫県立大学の極端紫外線リソグラフィー研究開発センター(CEL)はEUVL技術開発の加速促進を目的に2010年10月に当研究所に設置、これまでに約20年間に亘り4つの国家プロジェクトを先導・参画、国内外の多くの企業と共同研究を通じてEUVLの実用化・課題解決に貢献
3) EUVLが7 nm (2019) and 5 nm (2020) node logic devicesの量産に適用
4) IRDS国際ロードマップによると0.5 nm世代(2037年)までEUVリソグラフィー技術が量産適用
5) High NA(=0.55)EUVLは2025〜2026年に市場投入予定
6) さらなる微細化のEUVLの技術課題はレジスト、ペリクル、マスク、EUV光源
7) ニュースバル専用にc-bandの新入射器整備を2016年より進め、2021年4月20日より運転を開始
8) 今後も3次元半導体素子開発ではEUVL技術が重要であるが、まだまだ多くの技術課題があり、ニュースバルでは多くの企業とEUVLの基盤技術開発を推進
9) 兵庫県立大学では2031年の0.7 nm node logic以降のデバイスの量産に向けてBeyond EUVLの開発を推進
10) 半導体技術分野は素材技術から利用技術まで多岐に亘っており、これに関係する日本国内の先端技術を結集して、世界における日本の半導体技術覇権の課題を克服
11) 国内の半導体需要を向上できるマーケットの構築
QA(敬称略)
渡邊;韓国経産省とも話をした。材料の重要性を認識し、放射光施設を創っている。海外の取り組みも活発になっており、人財確保が重要である。総じて日本のエンジニアに対する給料は安くなってしまっている。働きかけが必要だ。
鈴木;EUVL光源開発が中国でも行われているが、いつぐらいに立ち上がるとみるか?
渡邊;ASMLから専門家が移ったと聞こえてくるし、二年以内かもしれない。国、企業が研究者、エンジニアを尊重し大事にする施策を考える時期に来ているのだろう。
鈴木;UVLマスクは、TSMC, Intel,サムソンは中で作製している。ラピダスはどこで作る?
林;長瀬セミナーに参加をしてきた。来春にはラピダスの戦略が明らかになるようだ。EUVLマスクの供給は、10年、1兆円必要だろう。
新井;国がかつてのように借金をしてでも殖産興業を主導する、というシナリオが無い。
渡邊;2027年2nm量産というラピダスは遅い。
林;市場性強いキラーデバイスがあれば、経済的存続は可能かもしれない。
田中;EUVLレジストの選択はどのように判断されるのでしょう?
渡邊;レジストは、ドライかウエット、金属か非金属、有機化学系か非有機など、選択枝があり、混沌としている。一歩一歩、地道にサイエンスが必要である。原子レベルの均一性、二次電子を担保することは共通課題である。LAMのALDによるドライレジストは、金属錯体である。ウエットはコストが安い。
筑根;光源についてガス市場の観点から。
渡邊;水素、アルゴン等を用いる。
三重野;政治家、省庁、企業への働きかけについては、非常に重要と認識している。次回の生討論+TEAMS(12月16日)において、方針及び施策について話を深めたいと思う。例えば、研究会に経産省を講師、ゲストとしてお招きするとか等。
以上
ありがとうございます。
三重野
