第44回研究会 TEAMS 開催禄
2024年1月20日(土)午後2時半より (ベルギー時間午前6時30分、上海時間午後1時30分) 開場午後2時
講師 津田 建二 様 国際ジャーナリスト
講演テーマ
「「2024年の半導体産業、技術、市場の行方」
TEAMS
参加者(敬称略)
原口、国井、水島、鈴木、筑根、佐藤、小森、小林、新井、津田、田中、渡邊、林、和田木、辻村、堀口、三重野
アジェンダ
2023年の半導体産業の状況
ラピダスの活動状況
生成AIがけん引
AIがクラウド(生成AI)からエッジやエンドポイントへ拡大
先端パッケージング技術が活発に
クルマ、パワー半導体の出番
2024年への期待
中長期的な大きなトレンド
CESのトピックス
2024年につながるトピックスと現状半導体
半導体不況が進む、特にメモリは大打撃
ラピダスに注目が集まる、千歳工場
ファウンドリが日本でも相次ぐ
半導体産業が大もてに—Nvidiaが半導体で初の1兆ドルへ
先端パッケージ技術(中工程)が今後の主軸に
クルマ需要が旺盛、パワー半導体+αが必要
2024年の半導体市場
2024年以降のメガトレンド
AI、IoT、5Gのトレンド
2023年から2024年にまたがるトピックス
-Magnificent Seven (映画 荒野の七人)と最近では、GAFAMにTesla, Nvidiaを加えて呼ばれている。1兆ドル規模だ。日本には無い。(「荒野の七人」は、「七人の侍」のパクリなのだから、日本で出来ない訳が無い。)
-市場動向
半導体販売額の前年差と比を示す。2022年7月から下がっているが、回復傾向にありポジティブである。
メモリー各社の業績は1Q22から3Q23において、サムソンが下がっているのに対して、SK Hynixの回復が良いように見受けられる。これは、HBM(High Bandwidth Memory, AI用)需要による為であろう。キオクシアの業績回復は、2025年(SEAJ)とのことだ。
スマホ市場が回復基調にある。各調査会社(IDC, Crosspoint, Canalys)の予想は成長方向。
-ラピダス問題
ラピダス工場、水、電力など新問題に直面している。
ラピダスが北海道千歳に工場を決定し着工中だが、水を予想以上に使うことが判明、国から198億円の予算で水源確保の予定であり、また、電力は泊原発再稼働しかないが作動しない。
日本全国電力融通仕組み作りが不足している。ラピダス東氏は再エネ利用を主張している。
ラピダスのビジネス状況
IBM、imec、開発のパートナーと提携、ただし共に量産経験なし。IBMのAIチップNorthpoleを2nmで製造契約か。RISC-VのTenstorrentと契約。
Siバレーにオフィス計画、運営は?
一方でTSMC、Intelは1.4nmプロセスに言及し始め、先端パッケージも同時開発している。
-JSファンドリ、パワーとアナログ向けにonsemiから6インチファブを購入。
パワー半導体を中心に製造委託, 150mmライン中心
2022年onsemiが売りに出した国内ファンドが買いファウンドリに。元は三洋半導体の新潟工場。産業創生アドバイザリの佐藤文昭氏が提案、ファンドを説得。代表取締役は元ラピスの岡田憲明社長。
-SBIがPSMCを日本へ誘致
宮城県大衡村に2029年までに8000億円を投資、第1期工事に4200億円、27年300mmで月産1万枚目指す。日本政府1400億円支援。車載向けを現在の8%から30%へ。これまでスマホやTV向けDDICやPMICを生産していた。宮城県近くには、キオクシア北上、デンソー岩手、TELなどの大手活動している。
-Nvidia、半導体初の1兆ドルプレーヤー
時価総額が1兆円を超えた。
Magnificent Seven: Google, Apple, Amazon, Meta (Facebook), Microsoft + Tesla, Nvidia
AI向けのGPUを進化、A100→H100→H200(Grace Hopper)、H200はGPU+CPU。
スパコンのTOP500でNvidiaのGPUを6社が利用;AMD2、Intel1、無し1。無しは富岳。
-先端パッケージ向けの技術、産業も活発に
TSMCがInFOやCOWOSプロセスから先端パッケージに。TSMC、先端パッケージで集積度を5~10倍向上。TSMCはパッケージまで、あとはOSATに任せる。
後工程の実装にガラスパネルの利用へ。
Intelがガラスサブストレート。
日本のOSAT、アオイ電子が先端パッケージ。
AMATとウシオの提携でパッケージ配線幅を1µm以下に。
ウェーハから10µm厚のSiやSiC、GaNの極薄ウェーハをスライシング:TEL、EVG、ディスコなど。
-クルマ向け半導体の需要が旺盛
クルマがコンピュータ化、SD-V(Software Defined Vehicle)。
ドメインアーキテクチャからゾーンアーキテクチャへ。仮想化していく。
SiCパワー半導体が急増へ。
GaNも効率の良さからプイイヤーの交代。
ドライバIC、マイコン、アナログ、センサ、そしてパワー半導体。天野浩名古屋大学教授「パワー半導体は手足、頭脳はプロセサ」Infineonの強さはここに。Infineonは全てをカバーしている。
ルネサスもTransform(米)を買収しGaN, SiCをやり始めた。
-市場予測 2024年の成長率 10-20%。
-世界の半導体産業の変化
半導体の顧客は電機からIT(Computer, Communication, Semiconductor)へシフト→ITのトレンドをウォッチ
メモリのような大量生産品はIDMのまま
ロジックやプロセッサは設計が複雑すぎ→水平分業へ
台湾はファウンドリが確立後(2000年ごろ)、ファブレス育成に注力→MediaTek、Novatek、Reatekなどのファブレス活躍。
分業化はさらに進む→IP、デザインハウス、検証サービス、後工程データの管理、3D-ICファウンドリなど。
ITの3大要素がコンピュータ・通信・半導体。
半導体は産業のコメから頭脳・神経に変化。
-半導体需要はなぜ高まっている?
2021年のドライバはコロナ需要、22年後半~23年その反動
産業のコメではなく、産業や社会の頭脳に⇒System on Chip⇒ハードウェア+ソフトウェア
ICは回路からコンピュータに;CPU+メモリ+周辺+ソフトウエア
全ての「スマートXX」は半導体なしでスマートになれない。AI、IoT(DX)、5G、自律化などからセキュリティまで
ムーアの法則は2次元から3次元に
チップにソフトウエアを埋め込むことが当たり前に
-2024年以降に向けた取り組み;津田のたわごと
半導体を売るにはシステムの理解が不可欠
パワー半導体も同様、システムを理解すること⇒ パワー半導体だけでは売りにくい、ドライバIC、できればマイコンも
メモリもAIシステムへの理解が重要
システム理解の深さと半導体売上額とは比例するのではないだろうか、という仮説⇒ AIでのNvidiaの成功、パワーでのInfineonの成功、かつてPCでのIntelの成功、
システムの動向はITの動向と重なる;ITのメガトレンド:AI、IoT、5G/6G、セキュリティ⇒ これらの組み合わせがクルマ、ロボット、ウェアラブルなど
-Nvidiaの成功要因;AIシステムを理解
GPUの積和演算回路がニューラルネットワークの行列演算回路と同じであることに気が付いた。
AI(機械学習)がニューラルネットワークモデルで構成されている。
AIを実行するのに必要なソフトウエアを充実させた。
GPUからAI専用回路へ進展させた。
AIの演算には並列処理、バス方式からスイッチ方式へ、システムを拡張可能に⇒AI用のコンピュータを理解している。
スイッチ技術のMellanoxを買収
-Infineonはなぜパワーに強いか
パワーのシステムを理解している
パワー半導体、ゲートドライブIC、制御用のマイコン、アナログ、センサ、という一連のシグナルチェーンをカバーする半導体を揃えている。
システム、あるいはサブシステムを従来品と同社新製品半導体を比較し、コストダウンできることを顧客に説得⇒ 価格を下げない。
開発ボード(リファレンスボード)とシステムをPC上で動かせるソフトウエアを用意⇒ソフトウエア会社と仲間作り;エコシステムの構築。
-Intelがトップになれた理由はPCIバス
CPUと接続するPCIバスを標準化提案
チップセットも自社で作りPCIバスの効果を実証⇒台湾メーカー(ASUSやエイサー)もチップセットを設計
PCIバスを業界に提案、標準化により台湾のチップセットメーカーが設計しやすくなった
32ビットCPUは全てPCIバスへ、CPUの進展とともにPCIバスも進展させた(PCIeへ)
以上、旧東大・藤本隆宏教授(現早大)らのグループの分析
-中長期的な半導体成長の流れ
クルマの進展はACES:自動運転、コネクト、EV、シェアリングMaaS—マシンは機械部品からシリコンへ
2030年への脱炭素化:再生可能エネルギー、電力の安定化、融通化、省エネーパワー半導体、ドライバ、マイコン、SoCなど
IoTの着実な進展:平均年率20%で成長
AI(機械学習)の拡大と定着:エッジへ展開(TinyAIプロジェクト)5Gの進展と6Gへの通信拡大
-AIはクラウド(生成AI)からエッジまで拡大
クラウドの生成AI
用途ごとの専用的な生成AI
Microsoft、チップからサービスまでカスタマイズ
Intel、クラウドからエッジまで連続的にAIを提供;CPU、GPU、NPUを振り分けながら生成AIをPCで
Google、ズームインをAIでくっきり画像に変換
STM、洗濯機のモーターの最適な回転にAI利用
コグネックス、エッジで学習するAI外観検査装置
-生成AIの動き
NvidiaのGPUの生産間に合わず、需要急増
ソフトバンクの孫さん、生成AIからAGI(汎用AI)へ
スーパーコンピュータを使って学習、推論
TOP500で富岳が4位に、2位にはIntelのPonte VecchioのGPU、1位はAMDのMI250
生成AIのスタートアップ続々;AnthropicやCohere、InflectionAI、MosaicML、AI21 Labsなど、Nvidiaを追いかける
生成AIチップのプレイヤー;Nvidia、AMDのMI300X、そしてIntel、Tenstorrentも参加
IBM、用途ごとの生成AIでモデルパラメータを削減;創薬用生成AI、市場投資用生成AI
エッジAIへの動き
Googleの最新スマホにAI、拡大しても鮮明な画像に
STMの実装、洗濯機にAI
コグネティックス、コンピュータビジョンにエッジAIで学習
AMD、Intel、Armの新製品でパソコンにもAI
Qualcomm、TinyAIを推進
Intelは先端パッケージを初めてPC向けに採用(Meteor Lake)、AMDはモノリシックICのAIエンジンを集積
AI側もエッジで学習できる仕組みを導入、転移学習や追加学習など
Tenstorrent、RISC-VでAIデータフローコンピューティング
QA(敬称略)
和田木:AIスマホについての取り組みは?
津田:グーグルは何気に入っている。パソコン、スマホの機能として、入ってくる。エッジにおいて、既にクラウドにあるデータを使って追加学習をするだけであるから、比較的容易である。Intelはオフラインのエッジで生成AIを示した。時間はかかるが。
和田木:Intelはどうか?
津田:社員が元気になってきていると感じる。オッテリーニ、ボブスワンは成長技術投資をしてこなかった。が。パット・ギルシンガーが戻って技術投資をしており、エンジニアに活気が出てきた。女性役員も活躍しており、今年ぐらいから良くなってくるのではないか。
田中:11,12月と中国に行ってきた。MEMSはガラパゴスのように発達している。中国でのAIはどのようになっているか?
三重野:中国も米国と同様にプラットホーマーが強いので、それらを中心に発展しているようだ。また、年末にファーウエイmate60proを入手した。これにAIが搭載されているかどうかはわからないが、とにかく、画像が綺麗で100倍ズームも撮れる。
参考 50倍ズーム 手取り
義手、義足のベンチャー企業(ハーバード大学の教授が起業、投資は英国から)においては、義手でピアノが弾ける製品をアピールしている。AIが使われているかどうかは定かではないが、BCIの発展形でありいずれにしても神経から出る波形を動作に置き換える際にエッジAIが有利である。標準型が108000RMB、デラックスが168000RMB。
辻村:何らかの形でAIが入っているのだろう。ところでAIの定義は?
津田:機械学習させて推論させるということであろう。
三重野:キリスト教文化圏においては教義により、AI開発は制限を受ける可能性はあるのだろうか? 則ち、人間が「新人類を創造する」という神の立場になるかもしれない。
津田:AIはいいか悪いかという議論はある。Intelパット・ゲルシンガーは、「新しい経済圏を生むツールである。」としている。AI開発、製品化に合わせてレギュレーションも一緒に進んでいくのだろう。IBMは、ワトソンX、AI用ソフトウエア開発において、反倫理的なものは作れない。
三重野:ラピダスについては、多々知るべき、また議論すべき事がある。が、時間の都合上この回での討論はやめておきましょう。
以上
(文責)
三重野
