SEAMAJ第三十七回研究会開催録
日時 2023年6月17日(土)午後2時30分より午後5時まで (ベルギー時間午前7時30分、上海時間午後1時30分) 開場予定 午後2時。
講師 筑根敦弘様
東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻 学術専門職員
講演タイトル:「CVD昔話と最近のESGについて」
概要
第一部:CVD昔話
その昔(30-40年前),半導体メーカーでは各社のオリジナルプロセスや内製装置の開発を行っていました。その中で,かつて私の担当していたCVD関係において,面白い技術(日の目を見ることのなかった技術とかで・・)が,いくつかありますので,それをご紹介いたします。昔を懐かしく思い出していただけたらと思います。
第二部:最近のESGについて
昨年末まで産業ガス会社におりましたので,そこで担当していた半導体関係のESG(Electronics Specialty Gases)について,少し前(2020年頃)の市場関係のご紹介をいたします。
短い話になるかもしれませんが,色々皆さんで「将来を妄想」していただけたら幸いです。
略歴:1982年 富士通株式会社入社。絶縁膜やシリコンのCVDプロセス及び装置開発に従事。その後,DRAMキャパシタプロセス技術や130nm Cu/Low-k多層配線(BEOL)プロセス技術の開発,2002年 ASPLA(株式会社 先端エスオーシー基盤技術開発)に出向し,90nm BEOLプロセス技術の開発,2005年 富士通に帰任し,45nm BEOLインテグレーション技術の開発に従事。2010年より大陽日酸株式会社にて,半導体関係特殊ガスについてのマーケティング及び新規材料関係の開発サポートを担当。2023年より現職。主にALD関係の研究サポートを担当。
参加者(敬称略)
濱田、水島、北原、小森、鈴木、和田木、佐藤(泰)、新井、太田、辻村、米田、原口、堀口、三重野
第一部:CVD昔話
1982年~
PECVD-Al
何をやってもAlにはならず、ほぼAl2O3となる。成膜装置は、平行平板型枚葉式プラズマ(二周波)を用いた。当時は、真空ロードロックなど概念が無く、常圧搬送しかもベルト式を用いていた。
現在であれば、CVD Alは達成できるであろう。
PECVD-SiN, SiON, SiO, PSG
パッシベーション膜や層間膜のPECVD装置として、社内製装置が何台も工場に導入された。英国工場、米国工場にも導入した。
当時の工場拡張に開発人員も駆り出され、国内工場あちこちと海外工場での立ち上げを行った。また、海外工場の設備トラブルでは、部品を国内から出張で届けたこともあった。
今から思えば、かなりの無理をしていた。いや、させられていた。工場拡張のペースが速すぎたと思われる。
(当日の写真が,記憶違いで逆になっていました。すみません!(筑根))
良かった点は、プロセス設備コンセプトの創造から設備開発そして量産導入とフォローという一連の流れ(但し、外部に「売る」は無かったが)を経験できたことだ。
今から考えれば、「経営者視点」はまったく無く、ぶつ切りの機能組織の一つにしか過ぎなかった。
もしも、「経営者視点を持ったプロジェクトリーダー」が、「装置という商品」開発を捉えていたら随分と展開は変わっていただろう。装置事業部制を導入するべきであった。
二周波は権利化してあり、当時は特許攻撃(交渉)の的はデバイスメーカーのみであった。装置メーカーへの権利行使は行わなかった。
LPCVD-PSG
Al配線の層間絶縁膜としてPSGが使用されていた。1Torr以下の減圧CVDで製膜されたPSGはカバレッジが悪く,段差部や側壁の膜質も悪いものとなる。一方,常圧CVDのPSGはカバレッジや膜質は良いが,SiH4-O2の気相反応の影響で表面の凹凸が大きく,リソでエラーを起こすことがあった。
両方の良いとこどり(?)を狙って,10Torrあたりで行う中圧(?)CVD装置を開発。
装置形状は前述のPECVDと同じ。シャワーヘッドの工夫により,分布や再現性を改善。
更に,カバレッジをよくする方法として,NH3添加を実施。
が,メカニズム的なところまでの探求は未実施。学会発表も未実施。が,Nが少量混入することで,硬く(?)なったためか,若干クラックが発生しやすくなった結果が出て,不採用。
1991年〜
Epitaxial-Si
バッチ式装置は難しいため(?),枚葉化を実施(当然,内製)。まずは,バイポーラ向けの低温化。当時、高速バイポーラは、スパコン用のLSIとして開発の花形であった。国の支援もあり、潤沢なリソースに恵まれた。が、今から思えば、足りなかったのは「トータルプロジェクトとしての時間軸」であろう。IBMが高速バイポーラからCMOS採用に切り替えた流れを、真似してCMOS採用に切り替わった。高速バイポーラ用の開発は全てストップした。
MOS用に某大手装置メーカーにクラスター式の量産装置を製造してもらい,工場に設置。が,クリーニング技術の完成が間に合わず,採用には至らず。工場から撤去。
1996年〜
CVD-Ta2O5
DRAMキャパシタの高誘電率化要求からCVD-Ta2O5の開発を開始。電極も同時に開発。
例えば,WNのW置換や,SiのW置換等。
Ru電極を使うとTa2O5の結晶化により誘電率アップ。が,リークは増加。DRAM事業撤退により,開発中止。
1999年〜2009年
130nm BEOL開発 Cu/SiLKTM&SiO-Hybrid (Dual/Damascene)
90-nm node BEOLプロセス開発@ASPLA Cu/SiOC (S/D&D/D)
45-nm node BEOLインテグレーション Cu/NCS (D/D)
各デバイスメーカーにおいても,消えていった技術が数多くあると思います。以前はうまくいかなかったが,今では何とかなる技術も・・。温故知新。若い人たちにも,昔の経験を伝承して,何とか国産先端デバイス復活に繋がれば・・。 ・・と,思います
第二部:最近のESGについて
特ガスは、年間5千億円の市場で年々増加している。NF3とWF6が売上のNo.1,2である。WF6は3DNANDで一気に増加。No.3のC4F6はロジックでもメモリーでも。
質疑応答(敬称略)
堀口:WF6以外のソースは?
筑根:WCl6や有機系はあるが、Pure WのソースはほぼWF6。いわゆるバリメタの要らないMoにシフトしていくのではないか。原料の供給量が課題か・・。因みにWF6の一番の供給会社は韓国。
堀口:製膜技術含めて、Moはまだまだの感じ。
辻村:第一部について。デバイスメーカーが装置をやっていたが、子会社を使うやり方と社内で抱え込むやり方とあったと認識している。
筑根:その通りで、社内製は町工場のようなところで製作をしてもらっていた。ので、やはり、量産対応には限界があった。製作費は安く抑えられるが。
辻村:実は依頼を受けて製造をしたことがあるが、大変であった。が、とても勉強にはなった。
和田木:GaNのガスは伸びている?
筑根:大陽日酸は、研究開発品ばかりなので。伸びてはいるかと思うが,パワーデバイスは工程数が少ないので,他のガスはちょぼちょぼかと・・。
堀口:環境面への配慮は?
筑根:いずれにしても、ハロゲン系や炭素はくっついてくる。プロセスにおいて、効率良く消費するのが理想だ。そういう装置、プロセスであるべきだろう。
北原:キセノン、クリプトンの供給問題は?
筑根:出たり消えたり。原料は空気からなので,それなりの設備を作れば供給は可。
水島:Ge72F4同位体は何に使っている?
筑根:業界レポートでは、イオン注入用と書かれている。やはり電流が多く取れるのでは・・。
水島:エピにおける水素量は、則ち系内の分圧の問題であろう。
(文責 三重野)
ありがとうございます。
三重野
