SEAMAJ第三十九回研究会開催録
日時 2023年8月26日(土)午後2時30分より午後6時まで (ベルギー時間午前7時30分、上海時間午後1時30分)。
第一部 第39回研究会 午後2時半より
第二部 SEAMAJ協会運営及び方針について 午後5時より
参加者(敬称略、順不同)
原口、水島、林、国井、鈴木、三重野
研究会開始から丸三年が経ち、初めての直接会合です。酷暑で一番暑い時間に、集って頂きました。
お会いするのは初めての方もいらっしゃいますので、各自自己紹介をして頂きました。それぞれの方が、貴重な経験をされています。聞いているだけでとても勉強になります。特に、半導体の歴史がそれぞれの立場、経験で補完されるようです。面白いお話が沢山あるのですが、ここでは省略させて頂きます。
一つだけ書くと、「創る」「作る」「売る」のサイクルを回して全ての半導体産業は成り立っているという話。
「創る」;何も無い新しいアイディア、イノベーションにチャレンジする。周りが無理だという事こそ、本質的に理屈に合致していれば「上司をダマシテでも」チャレンジする。そして、何よりも大事なのが、「これが有れば世の中が良くなる」という目標と情熱。
「作る」;「創った」ものを、製造する。精度良く、信頼性を上げ、コストに見合うように。
「売る」;世の中が良くなる、便利なものだから、世界中に工夫をして数多く売る。デファクトスタンダードとなる。
そして、このサイクルを回す上では、「伯楽」「目利き」の存在が欠かせない。(但し、良き時代の成功体験は、役に立たない。むしろ、将来ビジョンとチャレンジ経験が重要だろう。)
第一部「日本半導体産業を取り巻く状況について」 生討論会
共通認識を持つ為に、大きなテーマからディスカッションをしてみました。
○地球の状況と予測 : 温暖化、異常気象、食料、エネルギー、等
「異常気象」が常態化しつつある。今年も「集中豪雨」「干ばつ」「山火事」「巨大台風」「洪水」「崖崩れ」「強紫外線」「酷暑」等が、地球の至る所で発生している。
誰もが、地球の今、将来を憂いている。
さて、半導体屋は、孫、子の代に対して何ができるだろうか、どうすれば良いのだろうか?
エネルギー
「半導体は、エネルギーを作りだし、且つ、効率良くエネルギーを運び、蓄え、取り出すことができる。」
太陽光発電、地熱発電、風力発電、スマートグリッド等において、半導体は主役である。しかも、紫外線は強くなっている。
ドイツにおいては、メルケル首相の下でグリーン化を強く推進し成果を収めた。日本においても、企業が国の補助金の元で例えば、風力発電機を開発したが事業化には至らなかった。
テスラの充電スタンドが、800カ所に達した。一つ200万円程度で出来る。(充電スタンドは、中国において実用化されており製造コストも安く抑えている。おそらくテスラは、中国製造品を展開しているのであろう。)テスラの狙いは、日本の充電システムを支配することと思われる。
日本においては、既得権益により阻害される懸念はあるだろうが、グリーン化の為の半導体、それを使ったデバイス製品を大きく飛躍させるのが良い。
食料品、飲料水
半導体によって生成したエネルギーを使い、食料品、飲料水を製造する。例えば、野菜工場、緑虫、干ばつ地域に水を供給できる浄化デバイス等。
投資環境
日本の投資環境とベンチャーについて:
シリコンバレーでは、年間に800社程度が出来、そのうちの1~2%が生き残る。そのまた、X%がユニコーンとなる。昔から言われている日本のベンチャー育成環境は、「発想は良いが、大きなビジネスに行けない。」
オープンイノベーションはどうだろうか?
全体に言えることは、我々自身の意識を高める相互努力を行うこと。
また、意識の高い人々、組織等とコラボレーションの機会を持つなど。
○世界の状況と予測
米国、欧州、中国、韓国、台湾、グローバルサウス等
「トキディデスの罠」「中所得の罠」に落ち込む可能性もある米中問題は、日本にとって避けて通れない。政治的には米国、経済的には中国という状況。
失われた30年は、政治家、官僚の仕事と放っておいた我々が馬鹿であったと反省。「誰かがやってくれるだろう。」「誰かが言ってくれるだろう。」は、間違いであった。
但し、組織の中にいると、言いづらいのも事実。そういう人々は、「金銭的応援等」が可能だ。
また、これからの5年先、10年先を見るならば、グローバルサウスとのビジネスが欠かせないだろう。如何に苛烈な競争に参入していくか。例えば、日本からの直接パイプ以外に、BRICSの間接パイプを用いる等。見習うべきは、台湾、韓国のグローバルビジネスか。
TSMCは強みを持っているので、交渉力がある。さて、日本の強みとは。
日本の強み: 平和主義、非戦主義、被爆国、社会主義的民主主義(New democracy)、GDP第三位、人口縮小国(世界人口が80億人を超えた。人口抑制が叫ばれている。)
ラピダスについての所感
伝聞によるので、正確な情報は解らない。が、以下のようだ。
米国の狙いは、以下の二点。
-TSMCに対して、競争力のあるチップレット製造の確保。
-サプライチェインの囲い込み。
懸念事項
-人才の確保。グローバル???
-目的は、製造で利益を得て健全な経営をすることではない???
第一部会議後のメールでの補足(林様、水島様、国井様)
日本のエンジニアの気質
自分のところで実現することはないとしても、どこかで実現した際に収入が入るよう、なぜ特許の出願をしなかったのか?
JAXAや日本の会社で働くエンジニアを見回すとその点で悔しがっているようには感じられず、儲けることよりも技術を開発することを「良し」とする、日本人らしいところが現れていると思われる。
社会主義的民主主義の現われとも見える。米国、中国のエンジニア、研究者と異なる気質である。
但し、舛岡富士雄氏、中村修二氏(最近はレーザー核融合)、山崎舜平氏といった強者も存在する。
会社と個人の関係性において、個人が「発明」「開発効果」について曖昧模糊のままにしておくと個人の発明成果を会社に収奪されると法律上は解釈される。
イノベーションを起こせるのはどちらか?
-技術レベルはまだまだだが、チャレンジする熱意は強い!
-技術は持っているが、足元確保優先でチャレンジする気は無い!
イノベーションは、カオス、坩堝から生まれる。日本にカオス、坩堝はあるか?
無ければ創れば良い。
一見無関係な人々を一カ所に集めるだけで、カオス、坩堝は出来る。それに、「触媒」~「夢」を投げ込めば「何か」が生まれる。
国家予算の使い方
-地政学リスクが高まったので、防衛費を2倍の10兆円にすると言う。
-10兆円あるなら、「無くてはならない国」にしてみたらどうか!
「日本を侵略するなど、到底考えられない!」と思われるような国だ。
夢
孫には、「50年後に火星に行けるぞ!」と言っている。それまでに、人類が地球資源を食い尽くして絶滅していないこと祈っています。
第二部 今後の協会の進め方について
基本路線を踏襲し毎月研究会をネットで行い、定期的にFace to Faceを開催する。
原口様、Appex社様のご厚意により、会議室は以後も使用可能であります。また、ネット環境が整っていますので、会議室から各自パソコンからライブ発信することも可能と思われます。
全体を通しての感想
懇親会も含めて、有意義な時間でした。
(文責 三重野)
以上
ありがとうございます。
三重野
