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SEAMAJ第三十回研究会開催録(転載禁止)

SEAMAJ第三十回研究会開催録

日時 2022年11月26日(土)午後2時30分より午後5時まで (ベルギー時間午前7時30分、上海時間午後1時30分) 開場予定 午後2時。

 

新討論シリーズ : 「心に残る半導体経営者」

半導体産業における経営者について、皆さまにお聞きしたいと考えております。過去の経験において、或いは、書物等で、感銘を受けた経営者、或いは、一緒に働きたいと思った経営者はどのような方々でしょうか? トピックスと共にご紹介ください。一連の討論を通じて、半導体産業に最適な経営者象が見えてくることを期待しています。

本テーマ第二回目発表者 三重野文健 工学博士 代表取締役社長

株式会社Global Research & Innovative Solutions

発表概要;

1.半導体起業の事例

-SMICは2000年の起業であり、TSMCとは13年の差があり不利だったが、

20年後には米国から一目置かれる存在となった。

-何故多いTI出身者。

2.何故、日本は後塵を拝してしまったのか?

-経営者の観点;この観点で語られたことは無かったように思う。

過去、様々な原因(鉄三角、天下り、官主導、米国圧力、自国内での競争、企業エゴ、企業内政治、通産主導、マーケッティング・企画力、創造性の欠如、資金力不足、企業内事業部、統合不良、、、)が考えられたが、経営者の観点で考察されたことは無かったように思う。それは、半導体=失敗とされた時代には、個人攻撃、個人責任とされてしまう可能性があったからであろう。

現在はそれらの経験を踏まえて、新たな発想を持って踏み出すとても大切な時期であると認識している。

3.半導体経営者に求められる能力三つとは

1.半導体起業の事例

SMIC初期メンバーはプロスポーツチーム的人材を揃えていた

新プロジェクト;リーダーを外部から引き抜き、プロジェクトチームのトップに据える。

プロジェクトが円滑に進み、最大の結果が出せる。

幹部(初期): 大多数がTI出身、(台湾系)米国人、米国、イタリア、香港、シンガポール、マレーシア系米国人、韓国、日本等。

Dr. Richard Chang ; 台湾系米国人、「ファブを作らせたら、右に出る者はいない。」 「コスト対効果が抜群。」  但し、ファブの運営は二流と言われていた。

Dr. TY Chiu ; マレーシア系米国人、元ATTベルラボ、MBA、「ファブの運営は一流。」

Dr. Simon Yang ; 大陸系米国人、 元Intel  「Cu技術を立ち上げた。」 Logic技術

Roger Lee ; 大陸系米国人、元Micron シニアフェロー、メモリー技術

他 TI、TSMC, 東芝、チャータードセミコン等

橘玲「不条理な会社人生から自由になる方法 働き2.0vs4.0」を世界一わかりやすく要約してみた【本要約】

新プロジェクト = プロのスポーツチーム

優秀な人材を圧倒的な報酬で引き抜き最高の人材を揃えている。

リーダーを外部から引き抜き、プロジェクトチームのトップに据える。

プロジェクトが円滑に進み最大の結果が出せる。

日本企業は、敗れ去っていく運命にある。プロスポーツチーム vs.    素人チーム だから。

働き方  5.0  機械が全ての仕事を行う

4.0  フリーエージェント(ギグエコノミー)

3.0  プロジェクト単位でスペシャリストが

離合集散するシリコンバレー型

2.0  成果主義に基づいたグローバルスタンダード

1.0  年功序列/終身雇用の日本的雇用

TSMC九州、新会社がいったいどのようなマネジメントをするのか?

国、地方政府の支援及び干渉

支援

設立当初 ; 税制優遇、土地借地権、インフラ整備、ビラ・アパート、英語学校、

レストラン等の施設のエリア開発

ナショナルプロジェクトの立ち上がり ;液浸UV装置(ASML)を導入。

以後、北京ファブに評価設備、材料が並ぶようになった。が、それは量産に寄与するものではなかった。が、BEOL、マチュアテクノロジーで徐々に使われる(というか使わされるように)なった。2015年ナショナルファンドの設立により、加速された。

干渉

IPOを2004年に、ニューヨーク、香港に行った。2008年の金融ショック以降、大株主に大唐が入るようになり、リチャードにとってはやりにくい状況となる。リチャード退任後から、干渉が徐々に強くなった。また、ナショナルファンドも、設備、材料、プロセスを括るようになり、工場で評価、使わされるようになる。ニューヨーク市場からも引き揚げ、科創板に上場をした。

トップの交代; Richard Chang(米), David Wang(米), TY Chiu(米), Zhao Haijung(シンガポール)/Liang MenSong(台湾)

幹部及び高級エンジニア

初期、中期台湾人が多い。経験が浅く、僅か数年で部課長になっている。台湾から来るだけで、ワンランクアップ。実力は凸凹。

但し、米国から来た幹部、エンジニアは、経験があり優秀。しかし、中期以降、米国との環境差により、希望する人材は減った。

経営トップ;

2000年~2008年 Richard Chang

2010年~2011年 David Wang  台湾系米国人、 元AMAT

2012年~2015年 TY Chiu

2015年~ 以後は、Zhou Haijung 清華大学系強まる。

Zhou Haijung/Lian Mensong

TI 台湾進出  CHIP WAR, The fight for the world’s most critical technology, Chris Miler

1968年   台湾 K.T. Li,   TI  Mark Shepherd, Moris Chang(この時が初めての台湾)

1969年   TI台湾アセンブリ新工場稼働

1980年   Billionth Unit

米国企業の半導体アセンブリ工場は、米軍基地とほぼ一致して展開している。

但し、日本は除く。

管理システム

全て米国並み。とても優れており、2002年当時、「これでは日本の企業は、太刀打ちできない。」と驚いた。

IT担当VPも台湾系米国人 元TI。 おそらく、TIの強力なバックアップがあった。

HR

人事採用、人事評価は、各部門で行う。事業部長、部長、課長に、それぞれ採用権限がある。 人事部はそれ以外を行う。

顧客

IDM(米、日、EU、、、)、Fabless(米、台、日、韓、、、)、

当初は、米、台、日比率が高かった。

その後、中国内が伸びてきて、米国とほぼ均等。日本は減る。

2015年以降は中国比率が高まる。

2.何故、日本は後塵を拝してしまったのか?

-経営者の観点;

何故、日本は半導体製造において、後塵を拝してしまったのか。何故、日本では半導体経営者が育たないのだろうか?

結論:  日本は狭すぎたが、それに経営者が気付かなかった。

管理された環境の中で、育った人間は精神的にその檻から出るのには新たな経験が必要となる。経営者は、少なくとも 創業経験、経済的に独立した半導体製造企業での経験が必要であろう。

モチベーションの差

SMIC初期メンバーのモチベーション;

-中華系米国籍(華僑) ; 大学、企業内及び米国生活で生き残る。厳しい環境で、食いつなぐ。

例. ポケットに50ドル札一枚で渡航。アルバイトで、留学先の大学を卒業。職を転々として、半導体企業にたどり着く。SMICの可能性に賭けて、参画。米国人家族も帯同する。

(華僑の方々は、)祖国に貢献したいと常々思っている。

いずれは、トップになるという理想を持っている。米国内では、人種的にトップには立てない。

-危機の捉え方 ; 「危」は、本来は「Risk」の意味だが、「Challenge」と捉える。

「機」は、「Opportunity」。

日本語では、「危機」は「Crisis」。

日本企業トップのモチベーション; どうなのでしょうか?

人脈の差

-初期立ち上げメンバーは、米国企業で長年生き延びてきた方々なので、それ相当の国際人脈がある。特に米国、台湾、シンガポール、香港。 豊富な情報量。

未だに不明な点

日本式経営は半導体に適していないのか?

日本人の強み; 礼儀正しく人に敬意を払う。

仕事のディテールをしっかり追求すること。

定着性が高い。

日本では半導体経営者が育たないのだろうか?

3.半導体経営者に求められる能力三つとは

精神的にタフ (或いは鈍感力。)

不確実性(VUCA)への耐性。

川西剛 SMIC会長 : 東芝 斎藤氏が半導体事業部長に就任した時のコメント。

タフなアップダウンのビジネスだから、よほどメンタルが強くなければ出来ない。彼も宗教(仏教)の信徒だから、大丈夫だろう。 川西剛氏は、クリスチャン。リチャードは、聖書研究家。

スティーブ・アップルトン マイクロンCEO : ISSMシンポジウムにおいて、DRAMビジネスが厳しい状況下についての最後のコメント(鮫のイラストを示しながら)。

「もしも、経営破綻しても保険に入っているから大丈夫!!」

技術を熟知し好きな事

半導体(ハイテク産業)のCEOは、ほとんどが技術者である。

技術を熟知し、起業、IPO、経営ノウハウを実践し叩き上げられた。

半導体産業は、

「パラノイアしか生き残れない。」

アンドリューグローブ

⇒ 好きじゃなきゃ、とてもやってられない

自虐的なビジネスモデル

国際経験が大事

日本は特殊である事を、自覚する事。

To be continued,,,。

以上

ありがとうございます。

三重野

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