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SEAMAJ第二十九回研究会開催録(転載禁止)

SEAMAJ第二十九回研究会開催録20221022

日時 2022年10月22日(土)午後2時30分より午後5時まで 開場午後2時

(ベルギー時間 午前7時30分 上海時間午後1時30分より)  TEAMS

講師 ;曽我部 敏明(そがべ としあき)様 工学博士

穴織カーボン株式会社研究開発部部長

講演テーマ ;半導体産業で使用されるカーボン素材

– 製造方法並びに技術的現状と課題

内容(講演項目):

半導体産業関連での主要なカーボン素材

カーボン素材が使用される半導体産業関連の炉/装置

カーボン素材の製造方法

✓ 原料

✓ 人造黒鉛、断熱材、C/Cコンポジット

✓ 高純度化

✓ コーティング

カーボン素材の主な国内メーカー

国内カーボン素材産業の特徴と技術的現状

カーボン製品の課題と国際競争力

略歴 ;

1959年1月19日 愛媛県生まれ。

1981年3月 豊橋技術科学大学 工学部 物質工学課程卒業。

1981年4月 東洋炭素株式会社 入社。1996年、博士(工学)を授与される(北海道大学)。2002年に東洋炭素株式会社を円満退社。

2004年4月 大阪ガスケミカル株式会社に入社。定年退職。

2019年4月穴織カーボン株式会社入社(研究開発部 部長)、現在に至る。

東洋炭素では、主としてシリコン単結晶や化合物単結晶の引き上げ炉のホットゾーン部品に用いられる等方性黒鉛や炭素繊維強化炭素複合材料、機械用炭素材料、原子力用黒鉛材料(高温ガス炉、核融合)、フラーレン製造用炭素電極、及び金属やセラミック複合炭素材料の研究開発及び事業化に従事してきた。

大阪ガスケミカル株式会社では、主として等方性ピッチ系炭素繊維製品の技術、研究開発等に従事してきた。特に、シリコン結晶や化合物単結晶の成長炉、単結晶サファイアの成長炉等に用いられる炭素繊維系成形断熱材の研究開発に従事してきた。

穴織カーボン株式会社では、高温炉のホットゾーン等に用いられるカーボン製品や成形断熱材の加工販売事業に関する技術サポート及び必要な技術開発を行っている。更に、核融合炉のアーマー材の研究開発を始めとする幾つかの開発テーマを手掛けている。

半導体産業関連での主要なカーボン素材

〇原料

➢ 石炭からの原料

➢ 石油からの原料

◆黒鉛

➢ 人造黒鉛(等方性黒鉛) (CIP材)

◆炭素繊維製品

➢ 断熱材

✓炭素繊維フェルト

✓成形断熱材

➢ 炭素繊維強化炭素複合材料(C/Cコンポジット)

◆表面コートカーボン素材

PBN, TaC, GLCコート

黒鉛材料: 黒鉛構造炭素、あるいは主として黒鉛構造炭素から構成される材料。

◆ 天然黒鉛(鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)

◆ 人造黒鉛(電極材、等方性黒鉛(CIP材)) CIP; Cold Isostatic Press

黒鉛化:易黒鉛化性炭素、難黒鉛化性炭素

易黒鉛化性炭素;配向組織、人造黒鉛、異方性ピッチ系、炭素繊維

難黒鉛化性炭素;無配向組織、ガラス状炭素、等方性ピッチ系、炭素繊維

カーボン素材が使用されている半導体産業関連の炉/装置(例)

結晶成長炉、純化炉、黒鉛化炉、HIP炉、CVD炉/反応炉、溶融炉、エピタキシャル成長装置

カーボン素材の製造方法

✓ 原料

石炭をコークス炉で乾留し、コークス、コールタール等を得る。

原油から、ビッチ、生コークス、コークスを得る。

✓ 人造黒鉛、断熱材、C/Cコンポジット

人造黒鉛;コークスを粉砕、混捏(コールタール、ピッチ)、成形(CIP)、焼成、黒鉛化(アチソン炉)により得る。

炭素繊維;異方性ピッチ系炭素繊維、等方性ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維

炭素繊維強化複合材料(C/Cコンポジット);主に結晶成長炉のホットゾーンで使用されるのは、フェルト、チョップ、ロービング、2-Dクロス。

✓ 高純度化

高純度黒鉛;アチソン炉、高周波炉が用いられる。

超高純度黒鉛;真空脱ガス炉

ppbオーダーのコントロール。SiC用は、窒素を抜くが、限界はある。

✓ コーティング

PBN, TaC, GLCコート

カーボン素材の主な国内メーカー

CIP材:

国内;東洋炭素、イビデン、新日本テクノカーボン(日本カーボン)、東海カーボン

海外;メルセン(仏)、SGL(独)、Entegris(米)、

ピッチ系炭素繊維:

クレハ、大阪ガスケミカル、三菱ケミカル、日本グラファイトファイバー、Cytec Solvay Group

PAN系炭素繊維:

東レ、帝人、三菱ケミカル、SGL, Hexcel, Solvay, 台湾プラスチック、Dow Aksa, 暁星

断熱材:

国内;クレハ、大阪ガスケミカル、日本カーボン

海外;欧米 MERSEN, SGL, 中国 Anshan, Sinocarb, CF, AGM, Qi Yi, BWF等多数

C/Cコンポジット:

国内;東洋炭素、日本カーボン、CFCデザイン、ネフテック

海外;欧米 MERSEN,SGL  中国など多数

国内カーボン素材産業の特徴と技術的現状

半導体に使用されるカーボン素材は、日本は技術的、品質的に優位な状態であり、また生産量も多い。

➢ 等方性黒鉛(CIP)材

イビデンと東洋炭素が先駆けて高品質の素材を開発した。

東洋炭素は素材の大型化の先駆者である。

その後、日本カーボン、東海カーボンなどが素材を提供している。

国内メーカーの技術、製品品質は世界的に優位性がある。

➢ 断熱材

ピッチ系炭素繊維は、群馬大学の大谷杉郎先生によって発明された。ピッチ系炭素繊維

を用いて、クレハが最初に成形断熱材を世に送り出した。大阪ガスケミカルが続いて、

ピッチ系炭素繊維を用いた成形断熱材を提供している。日本カーボンは主としてレーヨン

系の炭素繊維を使用している。

➢ C/Cコンポジット

PAN系炭素繊維は、大阪工業技術院(現、産総研)の進藤昭男 博士によって発明された。

日本は技術及び製品品質に世界的に優位性がある。一方、あまり高い性能を必要としない

部材においては、中国など海外製品も十分使用できる。

カーボン製品の課題と国際競争力

➢ 人造黒鉛(主に等方性黒鉛)製品

【メーカー側の課題】

・原材料(ピッチ、コークス等)の価格上昇(石油、石炭の価格上昇)

・原材料の確保

・光熱費の上昇(電気代、ガス代)

◆エネルギー原単位(Energy Intensity)が大きい

・設備投資の判断(これまで半導体需要の波で被害を受けた経験あり)

【ユーザー側の課題】

・価格の高騰

・製品の確保、納期 (高純度化や表面コート品を含む)

・複数の会社からの購入を更なる検討(海外メーカーを含めて)

・製品の性能も実質的に限界にきている

◆更なる高品質を求める一方、現製品を使いこなす技術の確立

【国際競争力】

・品質や性能は依然として高いであろう

・原材料の確保や光熱費の高騰によるコスト上昇が懸念材料

・競業となるメーカー(国)としては、中国、インドなど

・国の政策(エネルギー、原材料)が重要となる 官民一体の体制の必要性

・例えば大手ケミカル会社(海外含む)によるカーボンメーカーの買収の可能性?

➢ 断熱材

➢ 炭素繊維強化炭素複合材料(C/Cコンポジット)

【メーカー側の課題】

・原材料(ピッチ)の価格上昇(石油、石炭の価格上昇)

・光熱費の上昇(電気代、ガス代)

【ユーザー側の課題】

・製品の確保、納期(高純度化や表面コート品を含む)

・複数の会社からの購入を更なる検討

・黒鉛部品をC/Cコンポジットに置き換える⇒軽量化、省エネ

【国際競争力】

・品質や性能は依然として高いであろう

・原材料の確保や光熱費の高騰によるコスト上昇が懸念材料

・競業とメーカー(国) は、主に中国(欧米とはある程度棲み分けされている)

・国の政策(エネルギー、原材料)が重要となる 官民一体の体制の必要性

・例えば大手ケミカル会社(海外含む)によるカーボンメーカーの買収の可能性?

質疑応答(敬称略)

M;カーボン材料では、ローカル化はどうなのでしょう?

曽我部;日本に関しては、エネルギー問題と材料問題と円安問題があるので、一次加工品を中国から輸入するとか或いは、使用する側の開発により、超高純度レベルでなくても使えるようにするとかの方策が考えられる。断熱材は、中国でもそこそこのレベルができている。しかし、均質性の高い高品質は、やはり日本、欧米だ。

W;材料問題において、褐炭は使えるだろうか?

曽我部;可能性はある。

W;材料分野は、国際競争力を保っている。しかし、給料は上がっていないので、材料に関わる人材引き抜きは?

曽我部;韓国において、電極材料関係で人材引き抜きはあった。

W;協業や人財確保などの国策が望まれる。つまり、技術開発能力を有している人財を、国内で優遇し、且つ、企業化する等の施策が必要なのだろう。

曽我部;カーボンナノチューブは飯島先生の研究開発の成果、カーボンフラーレンも日本の研究成果だが、実業はというと。

H;EUVL用の材料としてカーボンナノチューブは注目されている。しかし、日本で有力なプレイヤーは。20年前は学会を賑わしていたが。事業化までの長い目で見る研究開発支援が、必要なのだろう。

W;経産省に対しては、しっかりした建設的意見をタイムリーに出していく事だ。

その後メール(敬称略)

協会企画提案「半導体国策の比較、評価」について

H;半導体への日本の国策と、各国の国策の比較、評価は興味深いと思います。

「これを失うと、日本としての半導体業界への影響力は激しく失われる」という領域をちゃんと認識して方策を策定して頂きたいものです。

本日の議論でもありましたが、これまでは、「No Track, No Device」でTELさんなどはトップシェアーを得て利益も得てきたわけですが、レジストプロセスが材料も含めてオールDryになると、先端分野では影響力を失います。代替え技術は常に現れてくる、とのリスクを見極める必要があります。

その点、私の関連しているフォトマスク分野は、最先端こそTSMC、Intel、Samsungの内作が主体で製造していますが、全市場の約3割(主に自動車や産業機器向けのデバイスやセンサー製造用)は日本のフォトマスク専業ベンダーがまだシェアーを確保しています。そして、「No Mask, No Device」でして、代替え技術は見出されていません(唯一、ウェハー直接描画技術は綿々と存在しますが、生産性が1,000倍くらい劣るので、フォトマスク製造くらいにしか使われていません。もちろんこれもリスクなので注視していますが、革命的な技術が見えたら取り込むつもりです)。

この「No ○○、No Device」にあてはまる(現在の)領域と(代替え)リスク、そして日本の関連企業の動向を纏めてみると面白いかな、と漠然と思っております。

以上

ありがとうございます。

三重野

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