SEAMAJ第55回研究会 生討論+TEAMS+懇親会 開催禄
2024年12月21日(土)午後3時半より (ベルギー時間午前7時30分、上海時間午後1時30分) 開場午後3時
議題;
JICAインド半導体分野協力(案)について 若林 康太様
独立行政法人 国際協力機構(JICA)
南アジア部 南アジア第一課(インド・ブータン)
〰日印半導体サプライチェーン強化に向けて〰
概要; JICAは、外務省が所轄する独立行政法人と位置付けられ、日本の政府開発援助(ODA)を一元的に行う実施機関として、開発途上国への国際協力を実施しています。対印半導体協力を推進すべく、特に製造インフラ整備がインドのアキレス腱になると判断し、半導体製造のエキスパートとの交流を図っております。
この機会に、半導体製造産業に携わる皆様と、日本にとってより良い方向となるよう議論がしたく、さらに可能であれば協力体制を整えたいと考えております。
午後三時半から午後五時まで 会議場(APPEX社様会議室)をTEAMSで繋ぎます。
参加者(敬称略)
現地;若林(JICA)、林、太田、原口、濱田、濱田(晴)、水島、三重野
TEAMS; 松野(JICA,インド)、河込、深澤(WBA)、国井
JICAより、インド(特にグジャラート州)における半導体工業団地の整備状況、また、人材育成・インフラ整備に係る支援の意義・可能性について検討中であることを説明。
その後の主な議論は以下の通り。
(敬称略)
三重野 インフラ整備が進んでいるとはいえ、結局のところ遅延するのではないか。
若林 現地を見てきた感じでは、工業団地周辺の道路・空港整備、工業団地内の水・電気インフラ等の整備に一定の進捗は見られる。他方、これが必要十分なのかは不明。
太田 TATAはPSMCと組むことになっているとのことだが、インドで前工程を実施するのは厳しいのではないかと思う。PSMCがTATAにどこまで技術移転を行うつもりなのかが気になるところ。インフラ整備も進んでいるとは言え、例えば、道路は多少の振動でも製造装置を運べない。飛行機の輸送も大変神経を使うことが求められる。半導体運搬専用のトラックが必要であり、航空機も製造装置にあわせた手配が必要になることもある。電子ビーム装置を運搬する際には、中国の場合は日本から特殊トラックを運び込んだ。スペアパーツについても、迅速に供給できるよう税関がスムーズに通過できるのかも重要な観点。まずはこのような水準でインフラ整備が進んでいるのかにつき、確認することが必要。
(精密機器運送に関して) 1980年代に日本で電子ビーム描画装置を搬入する際には、日本通運の当時は1台しか無かったアクティブサス付きトラックを用いていた。先日のインド訪問で、市街地の道路は速度制限の意味だと思うが、一定周期でバンプが設置されており、障害になると思われる(高速道路は走っていないので分からないが)。
原口 10年前にもインドで半導体産業を立ち上げるという話があったが、当時のインドのインフラ状況をみて、到底実現できるものではないとの印象であった。JICAの報告を聞き、一定程度進捗していることは理解。
太田 変電所の整備状況は理解したが、発電所はどうなっているのか。周波数の同期は問題ないのか。地盤の強化も問題である。後工程はまだしも、前工程では多少の振動でも製造に影響がある。以前に中国で半導体工場を立ち上げた際は、途中で基礎をやり直しさせたことがある。
若林 半導体専用の工業団地、及びその周辺のインフラ整備にあたり、どのような観点で必要十分なインフラが整備されているのかを今後確認する必要があると考えている。
三重野 トランプ政権になれば、インドの半導体に対しても関税をかけてくるだろう。マイクロン(米)はインド国内でのニーズに対応するのであれば、問題ないだろうが。
太田 ITRI(台湾)がインドと組むのであれば、日本の支援は不要なのでは。
若林・松野 現時点ではITRIがどこまでインドに協力できるかは不明。インド政府が新竹サイエンスパークを訪問した事実はあるが、それ以上のコミットしているわけではないと思われる。日本だけではできないこともあるはずであり、インド側からみれば、この部分は台湾、この部分は日本といった国際連携が必要になる可能性もある。その中で、日本が抑えておくべき部分がどこなのかを検討したい。
三重野 人材育成(Center of Excellence:COE)は何を意図しているのか。日本企業はどのように関与するのか。
若林・松野・河込 COEはグジャラート州政府が構想するもの。これは、IITガンティナガールの構想がベースになっている。日本企業の関与については今後要検討。計画の上流段階で関与することで何等か日本側にも裨益するような仕組みづくりができないかと考えている。
太田・三重野 設計、装置の保守運用、アセンブリ、研究等の分野ごとでどの機関がどのような役割を果たすのかは異なるはずであり、分野ごとにCOEのあるべき姿を考える必要があるだろう。大学では運用保守教育はできない。工場サイドで可能になる。設計はインドの方が長けているはず。
若林・松野 今回は、現状のインド側構想をベースに説明したが、ご指摘の通り、今後深掘りする必要がある。インドの方が長けている部分もあろうが、そうした部分は日本側が何等か裨益する仕組みを作れないかという観点も考えている。全てにおいて日本が支援する立場になるというわけでもなく、インド側が日本にインプットすることがあったり、第三国が関与することもあろう。
林 インド人に設計を委託するのは非常に有益。活用の仕方はあるかもしれない。一方で、設計業務の一部工程の委託になるので、意思疎通がうまく行かないとあらぬ方向に業務が進んでしまうこともある。背景には文化的な違いもあるかと思うので、トレーニングなどの事前活動も必要と感じている。
原口 → 過去に(1980年代後半)、韓国企業は技術移転料を日本の半導体メーカーに支払い、日本メーカーのCopy Exactの製造ラインをつくり、技術者の教育と製造技術を教えてもらった。
太田 500人規模(?)の人材をNECに派遣し、教育したこともある。
太田・三重野 インドは一体どこにフォーカスした半導体を作ろうとしているのか。それによって日本が関与できる部分とそうでない部分がある。何等か戦略はあるのか。
若林・松野・河込 インドに聞けば、全てという答えが返ってくる。インドではICCという組織を作ってインド全土のインド工科大学のネットワークを構築して全インドで研究開発のみならず、民間企業を巻き込んで人材育成・研究開発を実施しようとしている。インド側も何等かの戦略を有していると思われ、それを確認していくことが重要と認識。他方、民間企業の戦略に関する情報にアクセスすることは容易ではないと想像する。
原口 日本企業の関心は、インドでビジネスが実際に起こり得るかという点に尽きる。インドで半導体製造が本当に実現することが分かれば、製造装置、材料分野の企業は確実に強い参画意志を持つので心配はいらない。他方、「インドでビジネスが実際に起こり得るか」という部分を確かめて、日本企業に発信することが極めて重要。
濱田・水島 インドの半導体産業の出口はなにか。インドで成功した日本企業の代表として思いつくのは、自動車会社のスズキ。スズキがインドで成功できた理由は、インドで安価な自動車の必要性があったからではないかと考える。マイクロンやルネサスが投資するのは、後工程だけであれば、自社製品の製造過程の一部に使うという明確な目的があるからだと思う。日本企業としては何もないところで投資するはずはない。いったい、インドがどのように戦略を立てているのか見えない。何でもやると言っているが、また車載であれば少しはわかる気もする。民間企業の戦略にアクセスできない限り、インドでどのような人材育成をすべきなのかは見えてこないのではないか。この状況では、できることはないのではないか。
河込 インドの巨大な市場、半導体産業のポテンシャルを考え、今打てる手がないかを検討すべきと考えている。
(注)各発言は組織を代表するものではなく個人の見解
・懇親会/忘年会にて:
林 →直近、インドでの半導体産業立ち上げに利する活動として、R&Dや教育活動での拠点として、小規模なクリーンルーム+試作・計測機器を導入し、その過程で建物の振動対策、磁場制御、クリーンルーム管理、機器の操作・保守の技術習得を行い、将来の量産工場(スケールアップ)への知見として蓄積するのが良いかと。
林 →半導体製造技術の習得については、産総研の推進する「ミニマルファブ」を導入して、基本的な半導体デバイス(CMOS、トランジスタレベル)の製造工程を理解し、簡単な設計に基づくデバイス製造を通じて、技術習得を行うのが効果的かと。
ありがとうございます。
三重野
